京都府京都市に拠点を置く京都薬事広告ラボ株式会社(以下京都薬事広告ラボ)は、薬機法・景品表示法に基づいた広告表現の問題解決を手がける、京都の広告支援会社だ。
「”伝えたい”と”守りたい”を両立する」をコンセプトに掲げ、化粧品・健康食品・医薬部外品・美容雑貨など女性向け商材を中心に、企業と伴走する薬事広告コンサルタントとして活動している。代表取締役の橋本圭子に、設立の思いから今後の展望までを聞いた。

■背景・目的
――まず、自己紹介をお願いします。
「京都薬事広告ラボ株式会社、代表取締役の橋本圭子です。東証プライム上場の化粧品メーカーで営業・PR・薬事を13年経験したのち、2023年5月に独立しました。化粧品・機能性表示食品・OTC医薬品など幅広い製品カテゴリの法規制や広告表現を専門とする、コンサルタントや企業講師として活動しています。2025年4月に京都薬事広告ラボ株式会社を設立しました」
――独立し、会社を立ち上げた背景には、どのような思いがあったのでしょうか。
「化粧品・健康食品業界では、薬機法・景品表示法への理解不足から、意図しない違反表現が生まれてしまうケースが後を絶ちません。それが行政処分や消費者被害につながってしまう。その一方で、複雑な広告規制を正しく理解することも簡単ではないことに加え、広告規制に縛られすぎて、本当に伝えたいことを伝えられない足かせにもなってしまいます」
その言葉どおり、橋本が大切にしているのが「”伝えたい”と”守りたい”を両立する」という姿勢だ。同社のメッセージには、次のような言葉が掲げられている。
「私たちは、ただ広告をつくるだけの存在ではありません。化粧品・健康食品・医薬部外品・医薬品・美容雑貨など、女性向け商材を中心に、”伝えたい想いをカタチにする”すべてのフェーズで、企業様と共に伴走する薬事広告コンサルタントとして支援しています」
法規対応と売上貢献、この2軸を土台に、企業のブランド価値を守り、高め、届ける。薬機法・景品表示法に基づいた表現チェックやリライトにとどまらず、顧問契約による継続的なサポート、社内研修や講座開催を通じた薬事人材の育成まで、法規と売上、どちらも妥協しないマーケティング戦略の立案を行っているのが、京都薬事広告ラボの特徴だ。
――株式会社設立から1年が経過しましたが、この間で何か変化はありましたか。
「この1年、本当に多くの企業様とのご縁に恵まれ、共に歩んでこられたことに心より感謝しています。その一方で、設立2年目という新たなスタートラインに立ち、私たちもいま一度襟を正して、皆様の想いに向き合わなければならないと感じるようになりました」
その思いを胸に、2025年4月の設立から1年が経過した京都薬事広告ラボは、「薬事コンプライアンスを、ブレーキからエンジンに変える」という新たなビジョンを掲げ、「3つの方針」を策定した。
1つ目は「ワンストップ制作体制」の強化。広告チェックだけでなく、販売訴求ライティングからクリエイティブ制作までを一貫して担う体制を強化することで、制作工程での認識のズレをなくし、薬事ミスを根本から解消する狙いがある。
2つ目は「AI活用」による体制のサポート。AIを活用した広告コンプライアンスチェックを行う企業が増える中で、中小事業者でも手軽に法令適合を確認し、実務に取り入れる仕組みや円滑な業務遂行をサポートします。実際に開催しているAI活用セミナーも高い反響を得ており、今後も薬事業務のDX化を軸にしたサポートを強化していく。
3つ目は「教育支援」を通じた業界への貢献。セミナーや教育コンテンツを通じ、業界全体のリテラシーの底上げを図る。実務に役立つ知識を提供することで、企業担当者が自ら適切な広告表現を判断できる土台をつくり、京都から全国へ「正しい広告が当たり前」となる市場の創出を目指す。
■取り組み内容・特徴
京都薬事広告ラボが掲げる3つの方針、なかでも「教育支援」への強いこだわりは、橋本自身のキャリアに裏打ちされたものだ。
――セミナーや研修への登壇も数多くこなされていますが、これはどのような経緯からなのでしょうか。
「化粧品メーカーの薬事担当として年間500件以上の薬事申請や法規チェックに従事し、広告講習会ワーキンググループの講師として、2,000人以上に法規の重要性を伝えてまいりました。この経験があったからこそ、独立後も”伝える”ことを大切にしたいという思いが強くあります」
こうした実績は、独立後も途切れることなく積み重ねられている。橋本個人としても、2025年3月には京都市に本社を構える大手企業からの依頼で、「薬機法の基本と対策ポイント」をテーマにした社内研修を実施。実際の広告事例を交えた実践的な内容が好評を博し、受講者からは「表現の仕方のデリケートさを学ぶことができてよかった」といった声が寄せられた。また、EC事業者向けに開催したステマ規制・特定商取引法改正をテーマにしたセミナーでも、「実例を画像付きで載せてくださったので分かりやすく、表現や表記漏れの恐ろしさが伝わりました」といった感想が集まっている。
もう一つ、同社が大切にしているのが、「可能な限りのクライアント訪問」だ。オンラインのやり取りだけでは、組織体制や決裁フロー、チーム間の役割分担、DX化の進み具合は分からず、企業ごとに大きく異なる。担当者と直接顔を合わせて話すことで、広告表現の裏にある思いや、ブランドとして大切にしている価値観が見えてくるという。
――対話を重ねる中、薬機法支援において大切にしていることはありますか。
「薬機法チェックの目的は、表現を制限することではなく、事業やブランドを前に進めることです。そのためには、”合っているかどうか”ではなく、”何が課題なのか”を一緒に整理する視点が欠かせません。理論上は正しくても、現場で運用できなければ意味がない。その企業の体制やフェーズに合った形で、現実的に実行できる表現・運用を一緒に考えること。それが、課題解決につながる薬事広告支援だと考えています」
この姿勢は、化粧品メーカーから医薬品関連企業まで、幅広いクライアントからの信頼につながっている。実際、顧問契約先からは「レスポンスが早く、スピーディーな広告展開に最適のパートナー」「薬事チェック以外のアドバイスもしてもらえて大変助かった」といった声が寄せられている。
■新展開・展望とメッセージ
確かな知見を積み重ねながら、京都薬事広告ラボは事業の幅を着実に広げてきた。その成長の一つの表れが、2026年7月31日に発表したSPRIM JAPAN株式会社(2012年6月設立、以下スプリムジャパン)との業務提携だ。

――今回の業務提携は、どのような課題から生まれたのでしょうか。
「化粧品と食品を扱う企業様は、薬機法・景品表示法に基づく広告表現チェックと、食品関連法規に基づく原料及びラベル表示チェックを、それぞれ別の専門家に依頼せざるを得ないケースが多くありました。窓口が分散することで確認の手間やコストが増えるだけでなく、連携漏れによる表示ミスや行政指導のリスクにもつながりかねません。この課題を解消したいという思いが、今回の提携の出発点です」
海外向け食品のラベル表示レビューや原料使用可否チェック、機能性表示食品の申請支援などを専門とするスプリムジャパンと手を組むことで、1つの窓口で広告表現と食品表示の両方を同時にチェックできる新体制を構築した。京都薬事広告ラボが薬機法・景品表示法に基づく広告表現を、スプリムジャパンが食品関連法規に基づく表示・原料使用可否を、それぞれの専門性を持って担当し、対応漏れ・チェック漏れのない体制を整えている。
――今後、京都薬事広告ラボはどのような会社を目指していきますか。
「”チェックするだけの薬事”から、”共に売れる表現をつくる薬事”へ。一社でも多くの美容・健康事業者様とともに、安心して届け、安心して選べる市場を広げていきたいと考えています。薬事コンプライアンスは、表現を制限するものではなく、企業様と消費者様の信頼を確かなものにつなぐ架け橋です。規制を正しく理解し、消費者様に届ける。その伴走者として、これからも企業様の挑戦を力強く後押ししていきます」
私たちは専門家であると同時に、親しみやすさを重んじる「サービス業」でありたい――そう語る橋本の言葉どおり、京都薬事広告ラボは、難しい法規制の話だからこそ相談しやすく、安心して背中を預けられる環境づくりを大切にしながら、京都から全国へと支援の輪を広げようとしている。
